古代の人々は正体不明で不安感情、不思議な感情をもたらすモノを「物(もの)の怪(け)」と呼んでいた。そしてそれは、鬼・天狗・狐・狸などの限られたモノノケの発現・活動と理解しようとしていた。ところが、江戸時代に入り、将軍徳川吉宗の博物学的思考奨励をきっかけに、医者や文人墨客、各地の俳諧人たちが「モノノケ」「化け物」の発掘と命名に忙しく活動。その結果、「ヌリカベ」「イッタンモメン」「スナカケババ」「コナキジジ」などの化け物が世に紹介され、やがてそれらを「妖怪」と呼ぶようになった。柳田国男は『妖怪談義』で、その名前の由来と事例を紹介。後に水木しげるが姿形を与えて自らの作品のキャラクターとして登場させ妖怪ブームを起こす。そして現在「ポケモン」という空想の妖怪がスマホの中で活躍しているがこれも妖怪現象といえようか。