SBS学苑

学ぶ感動、知る興奮

孫でもわかる投資入門

お金や経済について楽しく学ぼう!

激動の時代を生き抜く「お金の育て方」〜老後2000万円問題の真実と、今日からできる小さな一歩〜

中東情勢の緊迫化、ガソリンや石油製品(ナフサなど)の価格高騰。それにもかかわらず、なぜか上がり続ける株価……。日々目まぐるしく変わるニュースを前に、「世の中どうなってしまうんだろう」と不安を覚える方も多いはずです。

そんな先行きの見えない時代に、私たちは自分のお金とどう向き合っていけばよいのでしょうか。

そこで! SBSラジオWASABIでは、SBS学苑講師で「若葉マークの株式投資」代表の福沢隆雄さんをお招きし、「孫でもわかる投資入門」と題し、お金や経済について楽しく学び、豊かな生活を送るためのヒントを教えていただきます。

世間を揺るがした「老後2000万円問題」のカラクリ

数年前、日本中をパニックに陥れた「老後には2000万円が必要になる」というニュース。この数字だけが独り歩きし、多くの方が漠然とした恐怖を抱きました。しかし、福沢先生はこの数字に対して「あくまで一つのモデルケースに過ぎない」と警鐘を鳴らします。

金融庁の審議会が示したこの「2000万円」という数字は、以下のような計算式から成り立っています。

  • ・前提: 年金のみで生活している平均的な高齢夫婦世帯
  • ・月々の赤字: 生活費に対して、毎月約5.5万円が不足すると仮定
  • ・計算式: 5.5万円 × 12ヶ月 × 30年(老後の期間)= 1980万円

一見すると筋が通っているように見えますが、実はここに落とし穴があります。福沢先生が指摘するように、「人の生活は十人十色」だからです。

持ち家なのか賃貸なのか、家族構成はどうなっているのか、老後も働き続けるのか、あるいは支出を見直すのか。それぞれのライフスタイルによって、必要な金額は全く異なります。事実、2024年のデータを用いた別の計算では「月々約3万円の不足=老後に必要なのは約1200万円」という結果も出ていました。

つまり、2000万円という数字を鵜呑みにして絶望するのではなく、「自分自身の生活サイズならいくら必要なのか」を冷静に算出し、自分事として捉えることが最初の一歩なのです。

「貯金=絶対安全」の時代は終わった? 迫り来る物価上昇のリスク

これまで日本では、「汗水流して働き、銀行に貯金することが一番安全で正しい」とされてきました。しかし、福沢先生は「今のまま銀行に寝かせておくだけでは、時代の変化に対応しきれないかもしれない」と語ります。

その最大の理由が「物価の上昇」です。

現在の日本は超低金利時代。1000万円を銀行に預けていても、利息はスズメの涙ほどしかつきません。一方で、モノの値段はどんどん上がっています。もしお金の額面が変わらなくても、物価が上がれば「そのお金で買えるもの」は減ってしまいます。つまり、銀行に預けっぱなしにしているお金は、実質的に価値が目減りしていくリスクを抱えているのです。

人生100年時代と言われ、老後がどんどん長くなっている今、自分のお金を守り抜くためには、「お金を動かし、お金自身にも稼いでもらう」という発想への転換が不可欠になっています。

なぜ日本人は「投資=ギャンブル」と思ってしまうのか

欧米では、子どもの頃から家庭や学校でお金や投資についての教育を受けます。一方、日本ではお金の話をすることはどこかタブー視されてきました。高校の授業で本格的な金融教育が始まったのは、つい最近の「2022年」からのことです。

こうした教育の遅れから、「投資=ギャンブル」「損をして借金を背負う怖いもの」という誤ったイメージを持つ日本人が多いのも無理はありません。しかし、正しい資産運用はギャンブルとは対極にあるものです。

福沢先生が教える! 初心者が失敗しないための「投資の鉄則」

では、投資初心者は何から始めればよいのでしょうか。

  • ・生活を切り詰めすぎないこと 投資は、今の生活を我慢して、生活費を削ってまでやるものではありません。まずは自分たちの生活の範囲内で、無理なく行うことが大前提です。
  • ・貯金の延長線上で「コツコツ」育てる いきなり大金を投じる必要はありません。月に5000円、1万円といった少額からで十分です。コップに少しずつ水を貯めていくように、「お金を育てる」という感覚を持つことが大切です。
  • ・国の非課税制度を賢く利用する 2024年からは、より使いやすくなった「新NISA(少額投資非課税制度)」がスタートしました。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを使えば非課税になります。こうした制度を利用しない手はありません。

お金について学ぶことは、自分の未来を守ること

「老後2000万円問題」は、私たちに「国や年金だけに頼らず、自分でお金と向き合うこと」の重要性を教えてくれる良いきっかけだったのかもしれません。

投資に「遅すぎる」ということはありません。焦らず、ご自身のペースで構いません。まずは少額から、将来の自分へのプレゼントとして「お金を育てる」第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

執筆者紹介

若葉マークの株式投資 代表 福沢隆雄

大蔵省証券局(現金融庁)で証券会社の監督・検査業務に従事。その後、リーマン・ブラザーズ証券(米国本社、東京支店)、ピクテ・ジャパン、みずほ銀行系資産運用会社などで証券業務と資産運用業務に従事。現在は、SBS学苑・中日文化センターなどで株式投資教育を推進しながらJ-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザーとして活躍中。

主な著書:「はじめての株式投資(きんざい)」